この世は二人組ではできあがらない (新潮文庫 や 69-2)

  • 新潮社 (2012年12月1日発売)
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感想 : 88
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「金のこと。国のこと。時代のこと。
 働きながら小説を書く私は、社会とどう繋がっていくのだろうか。
 主人公の挑戦と葛藤を描いた
 ポップな社会派小説!」

私の地元・たまプラーザが舞台。

栞・紙・川。

生きること。
電車に乗って川を越えること。
恋をすること。
言葉を紡ぐこと。
働いてお金を稼ぐこと。
誰にも侵されない自分を持つこと。

シオちゃんの日々、
紙川さんの日々、
縮こまったストローの外紙に水を垂らすと、ぶわっと伸びるような。
そんな物語です。

相変わらずナオコーラさんの言葉選びの綺麗さには
嫉妬みたいなものを覚えます。
山崎ナオコーラに恋して焦がれて嫉妬して狂っちゃいそうになった
西加奈子も短編の物語を思い出します。笑

「川を何度も何度も渡ることで、
 私は生を実感する。
 流れ続ける川の上を乗り越えるのだ。」

「死んだあとの世界をより素敵にできるような
 今を生きたい。」

「人はひとりで完全だ。
 だからベターハーフなんて探していない。
 価値はひとりの人間に十分ある。」

「人間は遺伝子の乗り物というだけでなく、
 文化の乗り物でもあるのだ。」


くっついて離れて
少しずつ少しずつ変わっていく二人の関係と感情と
静かな予感。

ただただ過ぎて行ってしまうような
見落としてしまいがちな
奇跡みたいな一瞬。
それをしっかり掴むこと。

繋がりたい。
私もそう思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 山崎ナオコーラ
感想投稿日 : 2013年12月29日
読了日 : 2013年12月29日
本棚登録日 : 2013年12月29日

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