ぽろぽろドール

著者 :
  • 幻冬舎 (2007年6月1日発売)
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本棚登録 : 657
感想 : 130
5

久々の豊島さん。
図書館で借りました。
素敵な装丁です。

こみあげてくる、暴力的な気持ち。

痛くて痛くて、ひりひりするような気持ち。

その感覚は、
中山可穂さんが一番ですが、
豊島さんの作品の方が
身近かもしれない。

おばさまから譲り受けた涙を流す「ぽろぽろドール」
憧れのあの人にそっくりな人形を手に入れた「手のひらの中のやわらかな星」
たった二ヶ月、山奥の小さな町での秘め事「めざめる五月」
製糸工場の坊ちゃんを追いかける女中の時代物「サナギのままで」
本当の運命を求め続けた「きみのいない夜には」
全てが完璧だった僕は、事故で端麗な容姿を失った「僕が人形と眠るまで」

人形にまつわる六篇。
怖いんだけど、
登場人物たちの心の不足している部分を
人形が補填してくれていて。

登場する人たちは、
みんなどこか壊れています。
なのに、
暴走しつつも、
物事を俯瞰で見ていたり。

欲しくて欲しくて、
それでも手に入れられず満足できないもの。
そんな欲求を、
人形たちは何も言わずに、ただただ受け入れます。

人形の役割ってなんだろう。
どうして人形は存在するんだろう?

真夜中にひっそりと涙を流すような。
かきむしるような。

作品達でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 豊島 ミホ
感想投稿日 : 2012年8月16日
読了日 : 2010年10月15日
本棚登録日 : 2012年8月16日

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