久々の豊島さん。
図書館で借りました。
素敵な装丁です。
こみあげてくる、暴力的な気持ち。
痛くて痛くて、ひりひりするような気持ち。
その感覚は、
中山可穂さんが一番ですが、
豊島さんの作品の方が
身近かもしれない。
おばさまから譲り受けた涙を流す「ぽろぽろドール」
憧れのあの人にそっくりな人形を手に入れた「手のひらの中のやわらかな星」
たった二ヶ月、山奥の小さな町での秘め事「めざめる五月」
製糸工場の坊ちゃんを追いかける女中の時代物「サナギのままで」
本当の運命を求め続けた「きみのいない夜には」
全てが完璧だった僕は、事故で端麗な容姿を失った「僕が人形と眠るまで」
人形にまつわる六篇。
怖いんだけど、
登場人物たちの心の不足している部分を
人形が補填してくれていて。
登場する人たちは、
みんなどこか壊れています。
なのに、
暴走しつつも、
物事を俯瞰で見ていたり。
欲しくて欲しくて、
それでも手に入れられず満足できないもの。
そんな欲求を、
人形たちは何も言わずに、ただただ受け入れます。
人形の役割ってなんだろう。
どうして人形は存在するんだろう?
真夜中にひっそりと涙を流すような。
かきむしるような。
作品達でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
豊島 ミホ
- 感想投稿日 : 2012年8月16日
- 読了日 : 2010年10月15日
- 本棚登録日 : 2012年8月16日
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