表題の通り哲学の入門書である。
おそらく誰しも経験があると思うが、哲学の書籍を読んでもさっっぱり頭に入ってこない。
そもそも哲学書のタイトルから例えば「ドイツ観念論哲学」という高尚なタイトルから始まり、本を開いてみると験的統覚?悟性?直観?合理的神学??
Hegelなんて夜に読んだ日には、熟睡まちがいなしです。
どうやら哲学者とは、文章を難しく書いた方が評価を得るらしい。
とはいいつつ、哲学の書籍を読めない理由は
1)上記のように文章自体が難しい
2)そもそも問題意識がよくわからないので、(1)も重畳してなおさらわけわかんなくなる
という二つによるものが大きいと思う。
たとえば、昔からの論点として哲学・神学論争が終わりなく続いているが、これはThomas Aquinasの「神学大全」によって一応な決着をみたが、これを読んだだけでは??となって、夜の熟睡の道具となってしまう。
Thomas Aquinasの問題意識は、哲学と神学の統一的解釈であり、キリスト教思想とアリストテレスを中心とした哲学を統合した総合的な体系を構築したことに価値がある。
したがって、キリスト教を学ぶためには、ローマ史を学ぶ必要があり、さらにはユダヤ教の知識も前提とされる。
またアリストテレスを学ぶためにはプラトン、ソクラテスのような古代ギリシアの哲学を学ぶ必要がある。
というように、哲学とは歴史を学ぶことと同じで、前後の歴史や時代背景の理解なしには学びえないのだ。
本書は、この問題意識のつながりを意識しながら作られている。
さらに平易な文章で語られているので、わかりやすい。
いままで読んできた中でも最も良い入門書である。
もし興味があるなら、さらに中級書なでを読み込めばよいと思う。
が、原書はおそらく本書を読んだだけではまだ早いと思われる。
というか、Hegelなんて専門家でも読めない(笑)ので、私のような素人は原書ではなく一般向けの解説書で十分である。
哲学とは、人生を豊かにするための道具の一つなのだ。
哲学者の思想によって何が得られるかが重要であり、別に原書でしかそれが得られないというわけではないでしょう。
- 感想投稿日 : 2017年8月5日
- 読了日 : 2017年8月5日
- 本棚登録日 : 2017年8月1日
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