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夢野 旅人さんの本棚 > 日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか


夢野の知恵蔵»

私を作った書物のアンソロジー

レビュー by 夢野 旅人さん

思想・哲学   4

普段、あまり新書を読まない私ですが。
本屋で立ち読みしたら、前書きにやられてしまいました。

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか (ちくま新書) (新書)
竹内 整一 (著)


その前書きを紹介引用いたします。

―阿久悠の「ぼくのさよなら史」の中の一文を引用して

 「人間はたぶん、さよなら史がどれくらいぶ厚いかによって、いい人生かきまる」

 なるほど、だから 沢田研二の歌に「さよなら」とか「さらば」という言葉を多様したのだな。


この本、なかなか上手いからめ方をしながら本質をついてくる。

全てねたはばらしませんが、注目点をいくつか紹介します。

 「さらば」「さよばら」とは、本来「然あらば」「さようであるならば」と接続語である
 前の事象から次の新しい事象を案じさせる言葉である

 「さよなら」自体は日常使われなくなってきたが 「それでは」「では」「じゃあ」「ほな」
 東北弁だと「せば」「だば」も接続詞である

この言葉の使い方は日本独特の文化である。

さよならの起原
 「さらばいかはせん。難きものなり共仰せごとに従ひて求めにまからん」(竹取ものがたり)
 
 「さらばよと別れしときにいはませば我も涙におほぼれなし」(伊勢後撰和歌集)

時代は進んで
 「世を背きぬべき身なめりなど、言ひおどして、さらば今日こそはかぎりなめりと(源氏物語)
 「氏既に寺内に討ち入れたれば、紛れて御出あるべき方もなし、さらば、よし自害せんと思し召して、(太平記)

と出家や自害と死に近づいてくる

と日本の古典を並べて「さよなら」の変遷を説いていく

かと思えば、死生観を題材に柳田 邦夫 そして「百万回いきた猫」に色即是空を想起し

かと思えば、中原、中也を持ち出す。

 なかなか面白い構成でした。新書にしては久々におもしろかったです。 



登録日 : 2009年04月20日 21:39:02


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