Whatever People Say I Am Thats What I Am Not

アーティスト : Arctic Monkeys 
  • Domino (2006年2月20日発売)
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本棚登録 : 308
感想 : 25
5

 ギター、ベース、ドラムだけの生演奏に近いバンドのアンサンブルを閉じ込めたアルバムとしては今のところ最後の大傑作だと思っている。リズムやコードの反復もなく、ただヴァース、コーラス、ブリッジの構成を持つ傑作曲が飛び出してくる。歌詞はThe Streetsに続く、自身の生活から見渡せる人の日常の描写。特に子供と大人の中間。虚飾や張りぼてに対するシニカルな認識もあれば、友達同士の乱痴気騒ぎ、彼女へのロマンスもある。一曲目の「The View from the Afternoon」で抱いた期待が最終曲「A Certain Romance」で友人との断絶で幕を閉じる。まるで夢のような40分。私が気になるのは、なぜこの様なアンサンブルが生まれたのだろうということ。影響元や参照点がいまだにわからない。特にBPMの早い前半(A面)。素早いカッティング、キメ、多用される三連のリズム。ヒップホップに影響されたであろう、言葉数や跳ねたビート。彼らにしか成し得なかった音楽がここにあり、既に完成されている。こんなレコードはなかった。「Mardy Bum」や「When the Sun Goes Down」、「A Certain Romance」には、その後収録された「Baby I'm Yours」(Barbara Lewis)のカヴァーや、「Suck It And See」で顕著になる、60年前後のPopsの影響を見ることは出来るし、「Red Light Indicates Doors Are Secured」にはポストパンクリバイバルを見ることは出来る。しかしこの作品の素晴らしさの前では瑣末なことだなと思えてしまう。圧倒的。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年6月27日
読了日 : 2016年6月26日
本棚登録日 : 2016年6月26日

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