他人と深く関わらずに生きるには (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年4月25日発売)
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本棚登録 : 397
感想 : 49
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なんだか後ろ向きなタイトルですが、そういう眉間に皺を寄せて読まんければならないような深刻な本ではありません。おもしろいオジサンのおもしろい人生訓、というか与太話です。何から何まででたらめというわけではありませんが。まあ、読んでみてください。税込みで380円と安いし。

さて、日本人はよく「群れたがる」と言われますね。会議だ、研修だ、コンペだ、なんたら会の会合だと。

それでなくとも、雑多な用事で忙しいのだから、少しは「ひとりの時間」を確保したほうがいいよね。と、思っている人も何かと忙しくしているように見えます。どこかに帰属していないと、社会から見捨てられたような不安を覚えるからでしょうか。

まあ、群れをなすのは動物の習性だから、別に文句を言われる筋合いの話ではないかもしれません。それでも、ひとりのときは控えめで穏やかな人も、集団の一員になれば傍若無人に振る舞いがちになるし、毎日の忙しさで濁った心を調整するためにも、多少は「群れる」ことを控えたほうがいいと思うのね。

突き詰めて考えてみれば、「ひとり」は群れていても、「独り」なのでしょう。その本質を忘れなければ、本当の意味での他者への共感も生まれてくるのではないかと思う上辻なのでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 03.評論
感想投稿日 : 2010年5月7日
読了日 : 2010年5月7日
本棚登録日 : 2010年5月7日

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