日本の空を鳩の定期便が飛んでいる?こんな妄想めいた話を、ユニークなキャラクターを揃えて小説にする発想が素晴らしい。そもそも「クラウジウスの原理」なんて言葉をタイトルに持ってくるところが理科系オタクの面目躍如だ。それも男女間の恋愛問題に応用して考え、行動するなんて、、、荒唐無稽な話のようでいて、なぜか惹きつけられるのは登場する人物たちの魅力のせいかもしれない。同居人として主人公の6畳一間の安アパートに転がり込んでくる元同級生の「ロンメル」や後輩の「犬さん」が実にいい味を出している。もちろん奇抜な設定も面白いし、もてない男たちの醸し出す「やるせなさ」や「情けなさ」に、思わず肩入れしてしまうところもある。ユニークなエピソードの連続でやや散漫になりがちな物語が、主人公・磯野の硬派な一面で締まっている。そして、余韻を残して終わる結末がいい。
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- 感想投稿日 : 2010年7月3日
- 読了日 : 2010年7月3日
- 本棚登録日 : 2010年7月3日
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