ナイルパーチの女子会

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年3月28日発売)
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ナイルパーチとは…。
淡白な味で知られる食用の淡水魚だが、
一つの生態系を壊してしまうほどの凶暴性も持つ。要注意外来生物。

国内最大手の商社に勤める。志村栄利子30歳。
常に結論を求めたがり、何事も先取りするのが好き。
実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ。
栄利子は人気主婦ブログ「おひょうのダメ奥さん日記」に嵌っている。
「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしている。
偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子は行きつけのカフェで偶然出会う。
最初は仲良くなれそうなふたりだったが、翔子が数日間ブログを更新しなかった
事が原因で二人の関係は思わぬ方向に進んでゆく…。


翔子がブログを数日更新しないだけで、大量のメールを送り付け
家にまで押しかける。
栄利子の異常な行動にびっくり…。
栄利子の翔子に対するストーカーはエスカレート
栄利子自身の日常生活が破綻する程…。
幼馴染・圭子との過去…。
栄利子異常だよ~怖い!怖い!怖い!
栄利子と同じ商社に勤める派遣社員・真織の豹変ぶり…。
本性を現した姿も、とっても怖かった。
怖い女だらけで震えました。

同性の親友がいない事のコンプレックス
同性の親友が欲しい!欲しい!欲しい!
他人との距離の取り方が苦手ってレベルじゃない…。
自分の行動や言動が相手にどう思われるか考える事すら出来ない。
人の思いを感じ取る事の出来ない人間の
自分が正しいと思う身勝手さがエスカレートして
凶暴性を発揮した時、何と怖ろしいのか…。
女性なら誰しも、他人との距離の取り方が難しいって感じた事があるはず。
私も、これまで幾度となく感じて来た。
だから、ほんの少しわかる部分もある。
でも、この本に登場する女性達は本当に怖い。
ラストは二人がそれぞれの新たな道を見付けられたようで良かった。

「女同士に限らず、人間関係って一色じゃない。
色々なものを含みながら、変化しながら続いていくもの。
清濁併せ呑む。点数なんてつけられないし、百点満点の
友情なんてどこの世界にもない」
圭子の言葉にはうなづけた!

読むのがとっても苦しかった…。
登場人物誰にも共感は出来なかった。
でも、友達を上手く作る事が出来ない痛い女性の話ばかりでなく
夫婦・同僚・親子等それぞれの関係を築く事の難しさも描いてる。
好きな作品では無かったけど…凄い作品だと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 友情小説
感想投稿日 : 2016年2月27日
読了日 : 2015年5月27日
本棚登録日 : 2016年2月27日

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