中国のマスゴミ ジャーナリズムの挫折と目覚め (扶桑社新書)

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  • 扶桑社 (2011年3月1日発売)
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★情報統制下における記者たちの姿。
ネットという武器を手にした中国にジャーナリズムの萌芽はあるか?

新聞、テレビが党の宣伝機関と位置づけられる中国のマスコミは、
いわゆるジャーナリズムとはほど遠い体質だ。
取材対象へのたかり、ゆすり、記事のねつ造も日常茶飯事。
その背景には厳しい報道統制があり、特ダネが許されないなど、
優秀な記者がスポイルされてしまう構造がある。

その一方で、インターネットの発達にともない、
情報統制やマスコミ腐敗になんとか抵抗しようと、
記者魂をみせる一握りの記者たちも生まれつつある。

新聞社の元北京特派員であった著者が、
中国のマスコミがらみのトンデモ事件の内幕を紹介しつつ、
報道の自由を模索する記者たちの光と影を描く。

(目次より抜粋)
●第一章 中国のマスゴミ
2010年十大ニセニュース/いたずらか当局の世論工作か、幻の「angel girl」/
華南トラ事件とフェイク写真/捏造記事で実刑も!「段ボール肉まん」報道/
記者のたかり体質 炭鉱事故封口費事件/たかりすぎて“口封じ“に殺される記者も
●第二章 マスコミ腐敗・記者モラル崩壊の背景
報道機関とは「党の喉舌」と「金をつかむ手」/党中央宣伝部を頂点とする報道統制/
記者はつらいよ その実態/書くなと言われるエリート記者・嘘でも書けといわれる新聞民工
●第三章 中国ジャーナリズムと外国人記者
外国メディアが暴いた「SARS隠ぺい」/「売血エイズ」報道の苦い記憶/
チベット騒乱報道から見えてきた可能性
●第四章 巧みにしなやかに抵抗せよ
鶴と空椅子の一面写真「南方都市報」/南方週末の“天窓”事件/
温家「室」誤植事件は、故意か不注意か?/天安門事件広告と天安門事件写真/
●第五章 インターネットでジャーナリズムの夜明けは来るか
「微博」記者・飛のインパクト/「氷点」事件を振り返る/地方紙、体制外メディアの台頭


福島香織(ふくしまかおり)
1991年、産経新聞社に入社。上海・復旦大学に語学留学し、
2002年から2008年まで中国総局記者として北京に駐在。
2009年、同社を退社し、現在はフリージャーナリストとして活動中。
著書に記者時代のブログをまとめた『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版)、
『潜入ルポ 中国の女』(文芸春秋)。twitterアカウントは @kaokaokaokao

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2011年3月20日
本棚登録日 : 2011年3月20日

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