旋律のような文章が美しい、夢幻的で思想的なSF小説だった。
今年読んだ本のなかで、圧倒的なボルテージの高さと先見性を感じた作品。
あらゆる「以降」に監視され、背景を間借りすることもできない今この現実世界こそがディストピアではないか。
名だたる名作タイトルを各章に掲げ、小説を再構築し、確信的に照射されたこの物語は希望が絶望か。
伊藤計劃、円城塔と同年デビューというところにも、何かしらの必然性を感じずにはいられない。
すべての嗜好に麻酔を打ち込まれているような、ワンダーな読書だった。
さらばブクログ。この作品の感想をいちばん最後に書けて光栄です。
─どうかよき読書を。そしてよりよき生を願って。─
2040年 9月
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カテゴリ:
本
- 感想投稿日 : 2012年7月1日
- 本棚登録日 : 2012年6月22日
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