馬たちよ、それでも光は無垢で

著者 :
  • 新潮社 (2011年7月30日発売)
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本棚登録 : 271
感想 : 39
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「ベルカ、吠えないのか?」や「アラビアの夜の種族」など
で好きな作家の一人であった古川日出男氏の作品「馬たちよ、それでも光は無垢で」を読了。ついこのあいだに会った仙台空港にある飛行機整備系の会社の工場長であった高校の同級生の話を聞いたあと、あの3.11の惨事を少し忘れかけている自分に気付き、少し重いだろうと読まないで積んであったこの本をひっくり返し読んでみた。著者が相馬市なので震災後の原発禍のなか相馬市近辺を移動しながら感じたこに、移動の中で彼の著作で東北六県を舞台にした「聖家族」の主人公との無意識のうちの会話を織り交ぜ書き下ろした物で、福島出身社ならではのノンフィクションでありながらも不思議なフィクションが混ざる読み物だった。小説家として何も出来ない無力感と戦いながらも、いまその災禍の中で感じた事を書き残さではと言う強い意志で書き下ろした文章であり、ずんとくる重い物を受け取り、やはり原発は確実に排すべきと再度思った。小説家としての福島の災禍に際しての貴重なチャレンジである本作品を読むのに選んだのがArchie Sheppの"Black Ballads"。力ある音色に元気がもらえるなあ。

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感想投稿日 : 2016年12月18日
本棚登録日 : 2016年12月16日

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