6分冊中の1冊目。
とはいえ前篇と後篇は元の発行が10年くらいずれているみたいなので、最初の3冊を読んだ時点での感想をここに纏めて書く。
何冊かある作品って、いつどうやって感想書くのかが難しいんだよね…。
さておき。
古典って読み辛いし、結局今の感性で読んでもイマイチなことが多いんだよなぁ、と思って読み出したのだが、読み易いし面白かった。
当時流行りの軽い小説、今で言えばライトノベルの様なものにあたるであろう騎士道物語を揶揄した、ライトノベル的作品。
主人公は騎士道物語を読み漁っていたら自分を騎士だと思い込んでしまったという中年。自宅にあった鎧を付けて馬に跨って旅に出てしまう。
行く先々で出逢う人、出遭う事柄を騎士道物語で読んだ何かと誤認し、失態を犯し周囲の人間には笑われたり邪険にされたりする。
ただ単に頭がおかしくなってしまった男の笑い話として読むこともできるが、第三者視点で強く感じるのは寧ろ悲劇。
自分の認識では正しいことを行っているのに、誰のためにもならずそれどころか迷惑にしかならない。
何とか説得しようとする友人もいるが、本人にはあらゆる出来事が騎士道物語的なそれにしか見えていないし、騎士道物語には出てこない全く新しいシーンに出遭っても「最近はこういうパターンがあるのか」と、その甲斐は無い。
洗脳されている人をどう正気に目覚めさせるか。そもそも正気とは、狂気とは何か。
この作品はドン・キホーテ視点で見れば騎士道物語そのものであり、そうすると今までの騎士道物語は本当に存在したのか、彼らはドン・キホーテではなかったのかということにもなる。
追記。後篇のレビューは以下。
http://booklog.jp/users/pilvoj/archives/1/4003272145
- 感想投稿日 : 2015年6月21日
- 読了日 : 2015年6月10日
- 本棚登録日 : 2015年6月6日
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