2017年1月
前作「下流老人」がベストセラーになり、多くのメディアで下流老人という言葉が聞かれるようになった。しかし、どうも多くの人は下流に陥る原因を、「自己責任」にしたがる傾向にあるようだ。
この本は、単に「自分が下流に陥らないにはどうすべきか」という問いに答える本ではない。恥ずかしながら、私も自分の老後について不安があったのでこの本を手に取ろうと思っていた。
では、著者はどのような事を訴えたかったのだろか。
それは日本の社会保障システムの脆弱さではないだろうか。
下流に陥る原因は様々ではあるが、少なくとも国が助ける事は出来る。しかし現実には、社会保障に充てられる予算は決して多くない。そんな現状を変えるためにこの本が書かれたのだろう。だから決して老人をいかに助けるか、といった観点だけで語られることはなく、広く日本に生きる我々が少なくとも住居や生活の心配がなく生活ができるために何が必要なのかを考えさせらる本になっている。
個人的には、教育に携わる仕事をしているため、大学の学費(特に国立大学の学費)が非常に高額な日本の現状が変わっていくことを望んでいる。また、最近話題になる生活保護の家庭に生まれた子供が大学に行くことができない制度など、貧困のループをなんとか改善できればと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年2月1日
- 読了日 : 2017年2月1日
- 本棚登録日 : 2017年1月15日
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