(100)朝 (百年文庫 100)

  • ポプラ社 (2011年10月7日発売)
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本棚登録 : 59
感想 : 11

図書館で借りようとしたら、1が貸出中だったので、
やむなく100から読むことにしました。

百年文庫100のテーマは朝。
田山花袋『朝』(1910)、
李考石『そばの花咲く頃』(1936)、
伊藤永之介『鶯』(1938)
の3篇が収録されています。

田山花袋の『朝』はそのものずばり、朝の空気を感じます。
長男が東京で職に就いたのをきっかけに、一家は東京へ移り住むことに決めます。
数日間かけて舟で上京するのですが、東京に着いた日の朝は、初めて見る景色に少年たちが目を輝かせている様子が分かるようで、希望が感じられ、こちらまでどんな新しい生活が待っているのだろうかといろいろな可能性を想像して楽しくなってしまいます。

李考石『そばの花咲く頃』は朝鮮の短編。
行商で各地を巡る男たちの話です。
登場人物たちの名前の読みを覚えるのに苦労しましたが、後半、奇跡的なつながりが見え隠れしたところで、ものすごくどぎまぎしました。

伊藤永之介『鶯』は、昭和初期のザ警察24時。
ある警察署の1日を追ったようで、いろんな人間たちが訪れます。
昔連れ去られた娘を探してほしいとおばあさんがやってきたり、常習犯、鶯を売りに来た女、産婆、陣痛の始まった妊婦、と本当に様々な人間が、罪に問われたり、警察に助けを求めたりで訪れます。
さらには、様々な人間模様がつながったりからまったりで面白く楽しめます。

“朝の来ない夜はない”という希望が感じられる3篇でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年3月5日
読了日 : 2012年3月2日
本棚登録日 : 2012年3月4日

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