ルネサンス期の文学の名作。訳者によるとペトラルカはこの本を何度も推敲して、生前は公にすることはなかったそうだ。ペトラルカ自身と聖アウグスティヌスの対話を中心に組み立てられた物語だ。ペトラルカは、アウグスティヌスに怒られてばっかりで、ちょっと気の毒になる。さまざま欲望を理性でコントロールせよというアウグスティヌスのアドバイスは真っ当だが、面白みに欠けて鼻白んでしまう。美しい女性に目がくらみ、詩人としての名誉を望むペトラルカは俗っぽい。それでもこの世俗的な生き方が、否定されているわけではない。両方の会話が均等に書かれているのは、ペトラルカが世俗的な生き方を否定しなかった表れだと思う。人間はここに描かれているペトラルカ的な生き方と、聖アウグスティヌス的な生き方の間でバランスを取ることが必要なのだと思う。
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- 感想投稿日 : 2017年4月18日
- 読了日 : 2017年4月17日
- 本棚登録日 : 2017年4月18日
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