多くの人にとっては、小説の話ではないかと思うほど、衝撃的な日本社会の現状ではないだろうか。10代の少女たちが帰る家をなくし、売春に行きついた壮絶な背景とそれに対し彼女らなりに懸命に生きる姿がかかれている。一見、フィクションかと間違ってしまいそうだ。しかし、少女たちの売春までにも追い込まれた環境から徐々に浮き彫りになる社会の欠陥により、はじめて、信じ難い本に書かれた世界がまぎれもない日本の現実だということに気づかせられる。虐待や貧困、様々な規制によるひずみ、児童福祉の不充分、政府の関心不足など、すべての問題を子供たちのその小さな背中に背負わされている。この本は人身取引という言葉を初めて聞く人はもちろん、聞いたことはあるが人身取引とは被害者本人の意思がからんでいると疑っている人に読んで頂きたい。果たして、本当に被害者の意思なのか、この本を通じて再度考えてもらいたい。彼女らの生き様を知ったあと、日常的に敬遠されがちな児童売春を見て見ぬふりができるだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
被害者が日本人の人身取引/Domestic TIP
- 感想投稿日 : 2013年9月5日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年9月5日
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