道徳形而上学原論 (岩波文庫 青 625-1)

  • 岩波書店 (1976年9月16日発売)
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感想 : 28

 どうも息の長い論理展開はまだまだ苦手で、部分的な議論は理解できても全体を通した主張を論証まで正確に追っていくことまではできなかった。それでも、カントの議論が否定派がいうような理性的な生き方をする強い個人意外の存在をすべて否定するものではないということは理解できた。
 もちろん、カントの理想は自由な意思を持った理性的存在者による目的の国の実現であることは否めないであろうし、説明できないことを説明してしまうというアクロバティックな論理を駆使しているという問題もないとはいえない。しかし、傾向性と理性によって認識された最高原理が矛盾せずに両立するとき、いかなる批判が可能なのか。
 批判する側が容易にその論理に組み込まれてしまうというのは非常に恐ろしいことである。カントの理論は、他の理論を評価するさいの尺度として用いたほうがよほど建設的な気がしてしまう。
 結局良くわかっていないので、再読するつもり。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年5月27日
読了日 : 2012年5月23日
本棚登録日 : 2012年5月23日

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