読書時間 6日
大企業の子会社で起こった「リコール隠蔽」という問題に立ち向かう、万年係長の戦いの物語。
ある日突然、湧いてきた「パワハラによる退社勧告」が告げられるが、その訴えをしたのが「万年係長」の八角である。
その尻拭いで営業第1課長に抜擢されたのが、長年苦渋を舐め続けていた原島であるが、たかがパワハラで、どうしてそこまでされなければならないのか、調べていくうちに、納品されていた椅子に「規格外のネジ」が使われていたことがわかる。
そのことをどうするのかということで、いろいろな会議が開かれていくのだが、会社の社風が「隠蔽」という選択をせざるを得なくなっていて、そのことで八角は愕然とする。自分も20年前に、無理なノルマを達成するために、押し付けた販売をした顧客が自殺をしたことがきっかけに、会社の体質を知ってしまったからである。
とにかく「お客を忘れてしまった商売は滅びる」のである。そのことを最後に八角は示しているのだが...
今作は「会社の組織とは何か」というテーマで描かれていたが、でできた役員はみんな「自分の保身のため」にしか仕事をしないというやつばかりだった。こういう組織では、そりゃ潰れるのは目に見えている。だが、現代では、そういう会社も沢山暗躍しているという事実もあるし、そういったことが言い出せずに、我慢して働いている人たちもいるのが事実でもある。
そこで、一歩踏み込んで「会社のために」筋を通していけるのか?
もし、自分の勤めている会社が、こういった不正に手を染めていたとしたら、どうするか?
考えさせられる一作である。
- 感想投稿日 : 2016年2月14日
- 読了日 : 2016年2月14日
- 本棚登録日 : 2016年2月14日
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