本当に上手い文章って、こういうモノを言うんだろう。
なんたる余韻というか。
色川氏の目を通した様々なインプット&アウトプット、その人間愛や達観に、痺れまくる。
戦後初期の混沌をベースに、そこに生きるニンゲン達の業や哀しさが、色川氏自身の生き様も含め濃縮している。
しかし、こんなにも鋭敏な感性と伍しながら生きた色川氏って、
あまりにも剥き身というか、例えるならば、皮膚さえ削がれていたかのようなクリアさというか鋭敏さであって、
とかく鈍感でこそ凌げる浮世を思えば、それはそれはきっと生き辛かったのではなかろうか、とも思う次第である。
否、だからこそ、アウトローに徹せざるを得なかったのか。
戦後成長から飽和、そして停滞の今こそ、凄まじいリアリティと共に読むヒトに迫り来る最高の随筆といえよう。
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- 感想投稿日 : 2008年9月12日
- 本棚登録日 : 2008年9月12日
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