香港映画界における名だたる賞を受賞しているが、ストーリーから何か特別な示唆が得られるわけではない(少なくとも今の私には)。けれど、どこか記憶に残る不思議な作品だ。その理由は、香港映画のイメージを払拭してくれたからだと考えている。かなり偏見もあるが、香港映画というと、アクションやカンフー、もっと言えば、ブルース・リーやジャッキー・チェンが頭に浮かびがちだが、こういう映画もあるのだと思えるようになった。窮屈な空間に様々な人種の人たちが詰まっているという香港特有のゴチャゴチャ感を失うことなく、撮影方法や脚本(特に台詞)、そして洋楽をうまく混ぜ込んで洗練された仕上がりになっている。
ここからは仮説だが、こうした作品が生まれるようになったのは、香港がイギリス領だったというのが一つの要因ではないだろうか。歴史を遡ると、70年代後半から生まれてきた香港ニューウェーブと呼ばれる香港映画の草分け的存在が生まれていて、彼らが海外映画から学ぶことになった背景に他国の支配があったのだと思っている。そして彼らから影響を受けたに違いないウォン監督が、第二世代として「恋する惑星」を生んだのだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ラブストーリー
- 感想投稿日 : 2017年5月13日
- 読了日 : 2015年8月15日
- 本棚登録日 : 2015年8月15日
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