インド神話: マハ-バ-ラタの神々 (ちくま学芸文庫 マ 14-14)

著者 :
  • 筑摩書房 (2003年1月8日発売)
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ヴェーダに始まるインド神話の種々のエピソードを、原典に直接依拠して集成、紹介した書。大叙事詩『マハーバーラタ』にて語られる神話を中心に、他の文献における類話と比較しつつ解説する。
本書は、インドの神話を平易かつ分かり易く紹介したものである。ヴェーダやブラーフマナの神話についても触れているが、メインとしているのはインドの叙事詩『マハーバーラタ』で挿話として語られる諸々の神話・伝説である。本書が主な原典として依拠する『マハーバーラタ』、及び『ラーマーヤナ』の本筋については軽い説明のみで割愛されているが、紹介される神話は有名な乳海攪拌といったものから、蛙の奥方アーユといったメジャーでないものまで幅広く揃っており、これ一冊でインド神話の主要なエピソードを読むことが出来る。
また本書の特徴として、著者上村勝彦氏の徹底した「原典主義」が挙げられる。本書で紹介されるエピソードにはそれぞれ明確な出典が明記されており、どの神話がどの文献に由来するのかが一目で分かるようになっている。同じ話の筋でもさまざまなバリエーションが存在する神話の紹介でこれがあるのは大いに助かる。また、一つのエピソードについて他の文献の類話と比較している点も嬉しい。
これからインド神話を知りたい、あるいは学術的に調べたいという人にはまさに必須の一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: インド神話
感想投稿日 : 2015年5月17日
読了日 : 2015年5月16日
本棚登録日 : 2015年4月13日

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