2014年の「このマンガがすごい」6位に選ばれた少女マンガ。明治~大正時代の日本と、戦前の皇居内に存在した明治宮殿を舞台に描かれる、若くして崩御した父帝の後を継いで即位した少女帝と、少年侍従(本作では「侍従職出仕」→「仕人(つこうど」)との交流を描く物語である。地元書店のマンガコーナーに堂々と飾られており、以前から気になっていた作品だった。
御園子爵家の次男・公頼は、実家の経済的な苦境を救うために、宮中に侍従職として出仕する。公頼はある事件をきっかけに少女帝と知り合い、やがて彼女に淡い恋心を抱くようになる。彼女は「今上帝」ではあるが、年少の弟が帝に即位するまでの中継ぎに過ぎない。そのため将来弟に譲位しても、結婚・出産はおろか恋愛も禁じられているという、極めて不条理な宿命を背負わされている。公頼はそんな彼女の信頼を得たい一心で、彼女に仕えるようになる。
帝と公頼に流れる淡い恋心を静かに紡いでいく物語の進行は、どことなく切ない雰囲気が漂う。壁紙や調度品も、当時のものをできるだけ丁寧に再現されており、読者の評価が高いのも納得である。各話は公頼の回想の台詞で終わるところから、おそらく彼がその頃を懐かしく思って書き記した日記を、忠実に再現した物語とらえることもできる。この二人は、いったいどんな運命を辿るのだろうか?第1巻だというのに、私の頭の中には哀しい結末しか思い浮かばないのだが。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2016年9月17日
- 読了日 : 2016年7月30日
- 本棚登録日 : 2016年7月30日
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