大斬―オオギリ― (ジャンプコミックス)

  • 集英社 (2015年4月3日発売)
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本棚登録 : 377
感想 : 29
5

 一言で言うなら、漫画版「大喜利」。または西尾維新版「世にも奇妙な物語」。個人的には「友達いない同盟」が読みやすかったですね。理由は「会話ネタが好きなんで」。話の展開の仕方は再読必至な「ハンガーストライキ!」が良かったかも。
 以下、各話のネタバレ含む感想。

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「娘入り箱」(×暁月あきら)
 ボーイミーツガールで異類婚姻譚。オーソドックスな恋愛物語。

「RKD-EK9」(×小畑健)
 これは黒かった。(笑)
 シニカルなオチがなんだろう、筒井康隆っぽいかな。

「何までなら殺せる?」(×池田晃久)
 ホラー……なのかな?
 愛ゆえに、というか価値観の相違、というか。
 人間よりもペットを、哺乳類を、植物を上位に考える人、少なからず、でも確実にいるしね!
 で、愛が高じすぎて事件を起こすことも。

「ハンガーストライキ!」(×福島鉄平)
 掛詞である「hanger」と「hunger」、そして「strike」の意味が作品全体のテーマになっているので、ぜひ辞書を引いてみて!
 性能が格段に上位の相手にどう勝利するか、が見所だったが、既に冒頭でヒントが出ていたか。
 メイン二人がなぜ“女性”なのかは、オチで納得。おそらく、伝説シリーズ・四国編の“アレ”を逆転させた発想が元にあると見た。なんせ『魔法のコスチューム』だし!

「恋ある道具屋」(×山川あいじ)
 料金を恋愛を成功させるのに見合う対価だと思えば「イイハナシダナー」。悪魔や魔力が本物か偽物か、曖昧にしたまま、というのもいい余韻を残している。

「オフサイドを教えて」(×中山敦支)
 サッカーを知らない人でもオフサイドなら解るようになる漫画かも。
 起承転結の“転”にあたる「理由」が予想外に重かった。しかしその分、“結”までに至る展開に良いスピード感が出ていましたね。

「どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い」(×中村光)
「どんな願いでも叶う。ただし、たったひとつだけ――」
 理想的な願いを考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えた結果、自分“だけ”を救う、現実的な願いだった。なんと自由で不自由なことか! これって一種の哲学ですよね。
 で、十二大戦の詳細は別日に出るとか。書きたくなっちゃったんだろうなあ。

「僕らは雑には学ばない」(×河下水希)
 雑学を「雑に学ぶ」と読むのは結構な「アハ体験」だった。趣味の一つが旅行だから、その体験から来ているのだろうか。
 でも確かに、「超音波や音叉で味が変わる」とか「蛇口に磁石を取り付けると軟らかくなる」とか、知識で知るのと実際に経験するのとでは感動が大きく違いますね。写真や映像も、肉眼でとらえた光景を100%再現できないですから、実際に見た時の感動は、やっぱりテレビで見るのとは大きく違います。
 これからもできる範囲でできることはしていきたいですね。

「友達いない同盟」(×金田一蓮十郎)
 会話劇。「肌色タイツ」と「生還フラグ」がツボった。でも最近の作品だと一部生還フラグになっていないフラグもあったような。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:西尾維新
感想投稿日 : 2015年4月19日
読了日 : 2015年4月15日
本棚登録日 : 2015年4月19日

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