なぜ生物にカタチがあるのか。
それはアンドリュー・パーカー『眼の誕生』に詳しいように、眼という感覚器が生まれ、捕食者/被食者との間に見る見られる関係が生じたからだ。ではどのようにカタチは形成されるのか。筆者はそのあたりを、ただ解説するのではなく、ともに読者と思考しようとする。話はあちこちするがそこが読み物として面白い。
私がとくに見つけようとしていたのはチューリング・パターンに関する記述。たとえばシマウマのしましまのデザインなどが生成するアルゴリズム。
これがリンデンマイヤーのLシステムにつながり、フィボナッチ数列につながり、プリゴジンの「散逸構造」につながり、フラクタルへ。
おまけにドゥルーズの襞と差異についても言及され、なるほど襞=差異とはそう解釈すればいいのかと意外なところから納得。そういえばカントやベルクソンにまで話が及び、ゲーテが形態学においては主役級の役割を果たしたという驚くべき話へ……
ああ、物を知らないって楽しすぎる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
科学
- 感想投稿日 : 2021年9月5日
- 読了日 : 2021年9月5日
- 本棚登録日 : 2021年9月5日
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