形態の生命誌: なぜ生物にカタチがあるのか (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社 (2011年7月1日発売)
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感想 : 17
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なぜ生物にカタチがあるのか。
それはアンドリュー・パーカー『眼の誕生』に詳しいように、眼という感覚器が生まれ、捕食者/被食者との間に見る見られる関係が生じたからだ。ではどのようにカタチは形成されるのか。筆者はそのあたりを、ただ解説するのではなく、ともに読者と思考しようとする。話はあちこちするがそこが読み物として面白い。

私がとくに見つけようとしていたのはチューリング・パターンに関する記述。たとえばシマウマのしましまのデザインなどが生成するアルゴリズム。

これがリンデンマイヤーのLシステムにつながり、フィボナッチ数列につながり、プリゴジンの「散逸構造」につながり、フラクタルへ。

おまけにドゥルーズの襞と差異についても言及され、なるほど襞=差異とはそう解釈すればいいのかと意外なところから納得。そういえばカントやベルクソンにまで話が及び、ゲーテが形態学においては主役級の役割を果たしたという驚くべき話へ……
ああ、物を知らないって楽しすぎる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2021年9月5日
読了日 : 2021年9月5日
本棚登録日 : 2021年9月5日

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