本書を読んでいると、学生時代、つくづく数学と不幸な出会い方をしたなあと実感させられる。高校生当時、数学の問題は何時間でも解いていられたけれど良くできたわけではなく、教師には、定理をまずは覚えなければならないとさんざん言われるものの、定理の意味を確実に理解できないことにはそれを使うのが気持ち悪く、定理の意味を考えているうちに時間はなくなり、どんどんと授業は進んでいき、点数は全然取れない。
本書を読んで驚いた。当時自分が抱いていた疑問。そのせいで問題が解けないでいた疑問点について書かれていた。高校生になりながら、ふと足し算やかけ算についてわからなくなることもあった。ひょっとして自分はそれを勘違いして使っているのではなかろうかという不安。しかしそこには、演算を解釈するいくつもの視点があった。例えば、数を「順序」と見るか、はたまた「集合」と見るか、という違いだけでも、数の風景がまったく違って見えることに感動。どちらになじみがあるかによって、自分が時間的に物事を捉える癖があるのか、はたまた空間的に捉える癖があるのかまでわかる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
数学
- 感想投稿日 : 2015年11月10日
- 読了日 : 2015年11月10日
- 本棚登録日 : 2015年11月5日
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