手に入れたばかりでまだ目次しか見ていません。アーレントの『イェルサレムのアイヒマン』では、アイヒマンは、ごく普通の平凡な軍人、人並みの良心すらもっていた人間が、全体主義運動の過程でいかにして凡庸な人間が恐るべき犯罪をなしえたか、アイヒマン自身が敗戦国の軍人として被告席にいるのであって、ユダヤ人虐殺の犯罪者だとは考えてもいなかったと分析しています。本書でさらに詳しくアイヒマンの人となりを読むことが楽しみです。最近、『ヒトラーを支持したドイツ国民』はじめ、全体主義体制下のごく普通の市民の良識はどうなっていたのかについての調査記録も出版されています。アーレントが著作執筆時には手にはいらなかったであろう記録が相次いで出版されているのは、世界に蔓延する不安のあらわれでしょうか。
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- 感想投稿日 : 2010年5月12日
- 本棚登録日 : 2010年5月11日
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