人魚は空に還る (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2011年10月29日発売)
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感想 : 82
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どうか、この心を、誰かがわかってくれますように。

超絶美形の天才絵師・有村礼と、雑誌記者・里見高広の“帝都探偵絵図”シリーズ第一作。礼がこよなく愛するホームズの物語を翻訳する、それが高広の役割。そして、二人が出会った謎を、優しく解き明かす高広。ちょっと不思議なホームズとワトソンの物語。短編集で、どの物語も、切なさと優しさに満ちている。ままならぬ浮世で、それでも優しく、誠実に生きようとする、不器用な切なさに。

「人魚は空に還る」浅草で話題の興業「蝋燭座」の出し物の目玉は人魚。しかし、人魚を買い取る人が現れ――。空に還った人魚の秘密とは。さりげなく小川未明が登場する表題作。真相を見抜いた高広は、しかしその罪を問おうとはしない。彼が真相を語るのは、礼のため。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 913: 小説. 物語
感想投稿日 : 2016年11月13日
読了日 : 2016年11月6日
本棚登録日 : 2016年11月13日

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