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すーさんさんの本棚 > まぼろしハワイ


レビュー by すーさんさん

小説(女性作家)   読み終わった  読了日 : 2010年03月09日  5

 「まぼろしハワイ」「姉さんと僕」「銀の月の下で」の3編収録。それぞれハワイが共通項。
 単行本のタイトルにもなっている「まぼろしハワイ」。
主人公のオトハとパパの再婚相手のあざみさんとの話し。
ハワイに子供の頃よく訪れていたあざみさん。パパとママと3人でハワイに来てたオトハ。
それぞれがパパという共通項があり、でもそれぞれの過去も抱えつつのハワイ。ハワイに行って出会った人のやさしさ。そしてそれを感じられて大切に感じられる2人。
心に傷があってもなくても、こうやって人への優しさを持ち感じられる人はいいな、と思う。
 「姉さんと僕」は両親をなくして親代わりの姉と僕との話し。
はっきり言って、特に感想がなかった作品。
3編の中で唯一そうだったのだけど、この本全体に流れている、穏やかな人達と空気は変わらず感じられた。
 「銀の月の下で」は出版社で働いている父と、娘の私は、その系列会社でデザインをしている。父の彼女と、その娘との4人でハワイに旅行することになる。
しかし、急用で春菜だけが残り3人は帰国することになった。
1人でハワイに滞在している時、以前会ったことのある作家の広田と偶然会う。
ハワイという日本でなくそして違う景色と空気の中で出会った2人は、意気投合してすっかり仲良くなる。
その中で、広田の独自の世界と私の心の穴がリンクして、そして次第にうめられるような共有のような感じになってくる。
読んでいて感じたのは、ただの気が合うという平たい感情ではなく、動物的な感覚で引き寄せられた関係なのだと思った。
そういうことは、たしかにある。それの一種が匂い。
この2人もお互いの持つ匂いに惹かれたのだろう。
ここでありがちなのは、男と女の関係になっていく方に進むのだけど、よしもと小説はそういう表現ではなく、人の心の根底の部分の動きや感覚に進んでいくのが、すばらしくだからおもしろい。
別に泥臭いのが嫌いとかではなく、こういう展開と表現の仕方ができるよしもとばななが、改めて作家としてすばらしいのだな、と思った。

※2008年1月30日 登録日 : 2010年03月09日 19:27:07


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