1993年の新訳出版当時に買ってそのまま本棚の肥しになっていたものを17年ぶりに引っ張り出して読んだ。当時装丁に引っ張られてCDの「ジャケ買い」ならぬ「装丁買い」したのであった。(装丁は鈴木成一さんであった)
量的には3時間ほどで読了したが、内容は1848年の宣言から160年後の今現在の状況をそのまま言い表しているような件もあるくらい、鮮度を保った部分もある。新訳の意義は大きい。
巻末で柄谷行人氏が書いているように、根本思想は国家の揚棄とブルジョア的私的所有の廃絶なのであるが、歴史が証明したようにどちらも上手くいかなかったということになる。確かに論の進め方には飛躍したり強引なところが散見されるが、この宣言が出されてから1900年代初頭までの熱気の源としてこの宣言を読むことは、あながち無駄なことでは無いだろう。
言うまでも無く、20世紀中葉までの歴史においてマルクス・エンゲルスの思想の影響は、21世紀の現在ではあたかも忘却されたかのごとき黙殺振りすら感じるが、ものすごく大きい。21世紀の現在、それを振り返ることは現在の世界のかたちを理解する助けになるように思える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
思想・哲学
- 感想投稿日 : 2010年6月6日
- 読了日 : 2010年6月6日
- 本棚登録日 : 2010年6月6日
みんなの感想をみる