法学者が描くインターネットのありようは、徒にその危険性を書き連ねるのでもなければ、無批判に豊かな可能性を描いて見せるのでもなく、そのコードによって構築される世界がどのような価値観に基づいてデザインされるべきか、という本質を問う内容だった。
コードは黙っていれば管理しやすい方向に動いていく。そこではこれまでの法で保存されてきたグレーな領域は白か黒に振り分けられる。インターネットが爆発的に広がっていく世界では、そういった不完全性に価値を見出し、不完全性を保存するようなコードを構築するのか、という判断を私たちは迫られていた訳であるが、現状はレッシグの杞憂していたごとく管理の方向に進んでしまった。
だからといって1999年に書かれた本書の価値が2010年の現在失われてしまった訳ではなく、むしろ改めてその本質について何度でも立ち返るべきだろう。そのくらい本書はインターネットに対する基本的かつ本質的な視座を与えてくれると思う。良書。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
インターネット関連
- 感想投稿日 : 2010年10月31日
- 読了日 : 2010年10月31日
- 本棚登録日 : 2010年10月31日
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