特殊清掃員と潔癖症のオゾン層研究職。
仕事とアイデンティティがうまく絡み合った絶妙な人物造形と会話のテンポの良さ、情景と心理を絡ませながらするする進んでいくドラマ仕立てが心地よい。
恋に溺れる二人だけにフォーカスが絞られず、同僚の妙子の存在がよいアクセントになっていていいですね。
いけすかない男、と呼ばれる連は確かにその通りですが、徹底したマイルールで他者を招き入れず生きてきたあたりは計にどことなくキャラクター造形が似ているなと再読していて気づいたり。
ほんとうの意味で心の奥に触れて欲しくない深い傷を抱えていたのは長谷川の方だったのかな。
ごくごく自然にするりと惹かれあっていく様にはBLの楽しさが詰まっています。
そう! これ! 一穂節!!! と、これがまさしく読みたい、の絶妙な言い回しとテンポと流れるような文章がひたすら心地よかったです。とにかく文章のトーンが好きでその勢いに夢中なまま読み通した感がありありと。
それぞれの空白やいびつさがすっぽり収まりあうようにするりと心を惹かれあっていく様と、飾り気のないテンポの良い会話が心地よいです。
この男同士ならではのざっくばらんなノリがとても楽しい。
BLでしか書けない最高に面白い話(でもちゃんとBL)のさじ加減のバランスがとても好きです。
後半パートで明かされる長谷川の胸の内と二人のざっくりした愛の告白が最高にキュートで好きです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
BL
- 感想投稿日 : 2016年12月28日
- 読了日 : 2016年12月28日
- 本棚登録日 : 2016年12月28日
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