流刑の神々・精霊物語 (岩波文庫 赤 418-6)

  • 岩波書店 (1980年2月18日発売)
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本棚登録 : 206
感想 : 18

初期キリスト教の美術を勉強していたので、その頃に資料として読んだものですが、とても面白かったのでここに。

ハイネは浪漫派の詩人というイメージが強いかもしれませんが、彼の生きた時代は、まさしくヨーロッパの激動の政治的動乱の時代でした。そこに生きた彼だからこその批判精神あふれたこうした作品が生まれたかもしれないですし、ユダヤ人として生まれた彼がやがてはプロテスタントに改宗するといった精神的な葛藤などが影響しているかもしれません。
ヨーロッパをキリスト教がものすごい勢いで席巻していった時、そこにもともとあった古代信仰、民間信仰がどのような変容を強いられたか。
『その後』の古代ゲルマンやギリシア、ローマの神々について知りたい方にとっては、この本はかなり興味深く、また、面白い本だと思います。

そして、さすがにハイネの手によるものらしく文体もたいへん美しいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年10月27日
読了日 : 2009年10月22日
本棚登録日 : 2009年10月22日

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