1983年刊。著者は琉球大学法文学部教授。◆沖縄の前近代を通史的に解説。詳述書とは言い難いが、沖縄戦で焼失・散逸した文書を収集し、その中(辞令書など)から琉球王国の制度を解読し、同国の独立性・自律性を詳らかにする点は新奇(4~5章)。沖縄を含む日本の一体性を所与の前提とする発想へのアンチテーゼが本書で提起される点は、本書刊行頃の沖縄の立ち位置を雄弁に語る。◆あくまで個人的な感想だが、地域史において、中央との関係は時代・場所によって濃淡があるのは当然であって、本書で書かれるほど意固地にならずとも、とは思う。
とはいえ、「日本の外としての沖縄」という視点と、薩摩支配・沖縄県設立・米軍施政下という変遷から、沖縄の文物・美術品が沖縄より散逸してしまい、未だその回収・返還作業が手つかずで、不十分なままに推移している事実は十分認識されるべきことのように思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月23日
- 読了日 : 2017年1月23日
- 本棚登録日 : 2017年1月23日
みんなの感想をみる