虹の彼方に(上) 機動戦士ガンダムUC(9) (角川文庫 ふ 24-58 機動戦士ガンダムUC 9)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年3月25日発売)
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本棚登録 : 293
感想 : 27

ネタバレ 良い意味でアニメーション等の映像作品とは違う、小説の醍醐味を感じさせる一作。また、富野喜幸氏の小説版「機動戦士ガンダム」(アムロが軍人設定の作品)を、これまた良い意味で彷彿させる。ニュータイプの感情・記憶などの交感シーンは、映像作品では感覚的になりがちで、その意味するところが捉まえにくい(如何様にも解釈できそう)。が、小説ではその心理・感情面の複雑さ、過去の記憶の内実を細かく描写することが可能。本巻ならアンジェロの最期がその一つかと。小説版ガンダムⅡラストのクスコ・アルを想起させるアンジェロの境遇(ララァも裏設定も同様か)。この極彩色に彩られる悲劇のシーンを丁寧に描けるのは小説の醍醐味であり、感情移入できなかったアンジェロに重要な意味を入り込ませたのは小説表現と著者の描述力によるものだろう。また、ララァとアムロ、カミーユとフォウ、サラとカツ、プルとプルツー等々生と死が人を引き裂く現実。本巻のマリーダの見せた奇跡は、Gシリーズで連綿と続くもの。中でも特に小説版ガンダムⅢのアムロの○○シーンを髣髴とさせる。まさに小説でこそ描写できる重厚さである。映像版を先に見ずに読破したことを良とし得た著者に感謝。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年1月23日
読了日 : 2017年1月23日
本棚登録日 : 2017年1月23日

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