鳥居耀蔵: 天保の改革の弾圧者 (中公新書 1049)

著者 :
  • 中央公論新社 (1991年11月1日発売)
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感想 : 4

1991年刊。著者は元毎日新聞論説委員。◆天保の改革における水野忠邦の懐刀として、その暗の部分における辣腕を振るった鳥居耀蔵の評伝。蛮社の獄をでっち上げた張本人でもある。さらに、水野の懐刀だったとはいえ、水野の旗色悪しと見れば豹変する。この妖怪(=耀蔵・甲斐守のもじり)の異名にふさわしい行動が、別の意味で清々しい。◆逆に、彼が失脚・刑死・獄死・自死させた開明派が幕末に現在しなかったことが、幕府消滅を招来した要因の一のようにも思えてくる。宿主まで死滅させた強毒性ウイルスにも擬せられるのでは。
それにもまして、丸亀藩に禁錮としてお預けとなってから数十年生き延び、明治を迎えたその精神力こそ妖怪の名にふさわしいのかもしれない。他家お預けになって長期間生き延びるのは極めて稀らしいので…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月23日
読了日 : 2017年1月23日
本棚登録日 : 2017年1月23日

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