原発のウソ (扶桑社新書)

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  • 扶桑社 (2011年6月1日発売)
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2011年刊。著者は京都大学原子炉実験所助教。◆原発批判派。以下備忘録。①原用地買収・廃棄物処理・事後の交付金を含めると原発は高コスト。②低線量被爆の危険・重篤度大、③電力会社がマスコミの大口スポンサー、トップとの密な私的関係。原発擁護報道は情報源・根拠に注意。「眉に唾」で丁度よし、④高熱源体の原発からの高温排水が海洋環境に悪影響を与えた可能性、⑤電力会社の公開情報の不足と疑義などは、割と既知情報。ただし、①ウランが石油・石炭等より枯渇危険度高、②上関原発の立地は瀬戸内海、③JCC臨界事故の素描は新奇。
原子力発電所に多大な問題、将来への禍根、莫大な費用が必要であることはもはや自明であり、如何に取り繕うともこのまま維持し続けられるものではないだろう。その上で、火力発電の問題、例えば、CO₂排出問題や石油依存度の危険、老朽化した火力発電所の解体と新設、その費用、また新設・設備更新による効率化、さらには小規模分散型発電システムに思いを馳せたいところ。そういう意味で、新書レベルでは本書は一読すべきものだろうなと感じる。
PS.原子力発電所建設には、補助金・電気料金への価格転嫁などで電力会社の負担が掛からない仕組み。電気料金高額化の要因でもあり、電気を食う産業、国内のアルミニウム精製産業の衰退の一因。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月24日
読了日 : 2017年1月24日
本棚登録日 : 2017年1月24日

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