武士の王・平清盛 (歴史新書y)

著者 :
  • 洋泉社 (2011年10月6日発売)
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感想 : 10

2011年刊。◆先に読破した学者の書より、小説家による本書の方がはるかにイイ清盛本。初めの段階で、当代の日記の記載を信じるとの前提を開陳しつつ、参照史料を適示した点が◎。◆備忘録◇①保元の乱を摂関家対院近臣の対立と見。敗れた摂関家は独自の武力を喪失し、二度と立ち上がれなくなった(勝者側にも摂関家がいたが、武力喪失の影響からほどなく没落)、②強訴の模様は詳細。時に院も清盛も実力で反撃。③院の近臣間対立の平治の乱は、経過の因果的流れが掴みにくい。特に源義朝が熊野参詣中の清盛一行を簡単に入京させた事情。
加えて、後白河院、二条帝という玉を奪い得た藤原信頼追随者の裏切りも(著者は清盛の陰謀論を。が、好餌で誘った可能性は?)。④日宋貿易の宋銭・銅銭の輸入量の多が明らかにする日本の経済成長と、輸出品としての金・伊勢の真珠の意義。⑤後白河を明敏な法皇と見ない著者(ここの叙述は?。狐と狸の化かし合いの感も残る)。⑥晩年の清盛の強引な手法(福原遷都+反対派公卿の一斉解任⇒結果、収奪される地方の武士層の怨嗟が平氏に集中。ちなみに旱魃飢饉の時期)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月24日
読了日 : 2017年1月24日
本棚登録日 : 2017年1月24日

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