この国で起きている本当のこと

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2012年4月20日発売)
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本棚登録 : 228
感想 : 25
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2012年4月に発行された本。2012年秋に帰国したときに購入してそのままにしていた。
発行されてから1年しかたっていないのに、すでに内容が「古いな」と感じてしまうということは、それだけ社会の変化のスピードが速くなって言ってるんだろう。
問題を問題として認識したころには新たな問題が出てきて、解決されないまま問題が積み上がっていくということか。
この本の内容の「問題」は、
・年金
・原発事故の検証
・原発の行方
・財政(赤字国債)
・農家と農政
・橋本徹
・その他の日本の問題
と言ったところなのだが・・。
ここに書いてある問題の本質的なことは、ちきりんさんのブログので理解していたと思う。
そして、本を読んで新たな知識として得たことは、そんなに多くないような気がするなぁ。952円もしたけど。無料のちきりんさんブログの力の方が大きい。

この本を読んで新たな知識として得たことは、原発を稼働させることで核燃料の再処理する技術や施設を有していることはすなわち核爆弾の原料製造工場を有していることと同義であるということ。
だから、民意は原子力発電に反対していても自民党は決してあきらめない。「安全保障」「軍事施設」としての原発施設やその技術を維持することは国家防衛上必要ととらえているからなんだと思う。

兼業農家の問題については・・ほんと田舎の特権ってすごいと改めて感じる。汗水たらすことなく、田んぼを持っているだけで政治家の「農政票」として機能し、見返りとしてすごい補助金でウハウハなんだから・・。まぁ生き方とプライドの問題として私とは違う世界のことだからいいですけど。
それだけのお金を(偽)農家に回すのなら、国際競争力のある農作物を真剣に育てている農家に頑張ってもらいたい。
日本はTPP参加することで、食糧自給のコントロールすら危うくなりかねない。アメリカのグローバル企業によって種子、農薬で農地を占領されてしまうと、国内ですら安全な「国産」の食料を確保することすら危うくなる。だって、種も農薬もモンサントだと、それはもう国産の農産物と言えるのか・・って思うけど。
これからは、オリジナルの種子を守っていくこと、放射能や農薬、化学薬品に耐性のもった雑草などあらゆる意味で汚染されていない農地の確保がすごく大切になってくると思う。
食べることはすなわち生きること。大地の恵みに感謝できる本物の農作物を国内で育てられることを守っていかないことが、一番の農政の本質だと思う。

あと、年金と国家財政については・・期待したらアカンよね。分散投資と自分の健康とどこでもいつでも働けるスキルを磨いていくことでリスクヘッジするしかないから、大きな問題については役人と国会議員と日銀に任せる。

あと、少子化の問題で衝撃なのはフランスの少子化対策について。日本のような、「だれでも平等に子ども一人についていくら」という現金を支給するものではない。フランスの少子化対策としては税制を子育て世帯に優遇したことで出生率が上がった。それも、高額所得者の子どもが多ければ多いほど劇的に税金が下がるそうだ。
これは「教育環境の整った家庭で育つ子供が増える」ということを意味し、うーん、どうせ子どもが増えるんだったらヤンキーあがりのわけがわからない家庭で育つ子供より、キチンとしたご家庭で教育を受けた子どもが増える方が国としても頼もしいよね・・。

こうやって書いていくといろいろ勉強になったと思えるな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年4月18日
読了日 : 2013年4月18日
本棚登録日 : 2013年4月18日

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