上下巻まとめてのレビュー。
青春小説、クリエイターたちの物語という体裁をとりながら、その洞察はあまりにも深い。言ってはいけない負け惜しみがあるということ、闇から拾い出す物語と温かみだけで作られる物語があるということ。
さらにぐいぐい引き込まれるのがディテールの描写だ。実生活で私たちはほんの些細なヒントを拾い集め、友人あるいは恋人の状況を察知していく。それが実にくどくないかたちで、でもさらっと温かみのニュアンスで描かれている。
強情で頑固な環と、優しくみんなを観察できるいる萩野と。。。一人ひとりの人物像が作りこまれていて、発言からも行動からも。そこがすごくリアルで、とても成功した群像劇となっている。
最後はありふれたアメリカのホームドラマみたいな形で、すべての複線を回収してみんなをハッピーにしすぎて、ちょっとうそ臭くなってしまったけど、それでも、世界に愛が満ち溢れるのはいいことです。上巻のほうが、おすすめ。
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- 感想投稿日 : 2013年8月25日
- 本棚登録日 : 2013年8月10日
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