スリラー小説の原点「追うもの、追われるもの」をテーマに競作したアンソロジー。
なぜこのテーマなのか。注釈によれば
「追うものも追われるものも、人間とは限らない。追うものが人でないこともあれば、追われるものが人でないことも、そして両者が人でないこともある」
編纂者の一人E・ゴーマンが元々ミステリ畑だったのが、その周辺のジャンルにも視野を広げ、何でもありのアンソロジーに仕立てようとした意図が見える。従って純粋にホラー系の作品ばかりでなく、ミステリ、ノワール系のものもある。
吹雪の夜の農場で、近くの遺伝子研究所から脱走したお化けネズミの集団と戦う破目になった親子<罠>(D・クーンツ)、作者が生んだヒーローの一人、「始末屋ジャック」が活躍する<人生の一日>(F・P・ウィルスン)、月の輝く夜、フロリダの沼地で怪物鰐と死闘を繰り広げる老ハンター「蜥蜴男」<リザードマン>(R・マキャモン)他、全19編収録。
……こういう質の高いアンソロジーを、ちょっと売れないからってすぐに絶版にしないで欲しい、とつくづく思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外ホラー/怪奇幻想
- 感想投稿日 : 2010年5月4日
- 読了日 : 2010年5月4日
- 本棚登録日 : 2010年5月4日
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