宵山万華鏡 (集英社文庫) [Kindle]

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  • 「祭りがぼんやりと輝く液体のようにひたひたと広がって、街を呑み込んでしまっている」

    祭の筒を廻すたび華開く、
    百花繚乱の記憶模様。

    祇園囃子。
    七歳の従妹。
    奥州斎川孫太郎虫。
    異形の金魚。
    緋鯉。
    風船。
    手を引く少女。

    「寄り道したらあかんよ」

  • 森見作品には、いつも京都の町、そして森見ワールドに引きずりこまれてしまう。宵山には、小学生の頃、母親に連れられて行ったことがあるけど、人・人・人、そして、天を衝くような鉾ーそんな記憶とうまく合間って、読んでいる間は、宵山に行ってきたような不思議な感覚になりました。いつものハチャメチャで阿保な感じの「宵山劇場」、それとは違った感じの「宵山回廊」「宵山迷宮」。どれも面白くイッキ読みでした。もうすぐ宵山ですが、通りに面したマンションのベランダから、麦酒片手にってのがいいですね〜。

  • 今年の夏、宵山へ向かおうとしていた行きに読むために買い、京都への車中で読んでいたが同行者と話が弾んでしまい結局全然読めてなかった。そして何より祇園祭とは山鉾巡業の日には屋台がなくなり、宵山とは前夜祭のことを指すのだと京都に着くまで私は知らなかった。なんたることか。

    森見登美彦の作風には四畳半シリーズのコミカルな感じと夜行みたいなホラーみたいな感じの二つがあって、他の作品であれば作品ごとにその雰囲気はどちらかだけになっていることが多い(それはそう)と最近考えていたけど、この本は短編集ということもあって、そのどちらの要素もあったのが驚きだった。初めて森見作品読む人におすすめするのは実は向いている一冊なのかもしれない。
    宵山を舞台に物語が展開することがあり、話ごとに繋がりが存在していて一つの現象を複数の視点から見れる構造が面白い。そんなに新しいアイデアじゃなくてむしろ短編集なら割とよく見る構造だけど。

    最後の話はちょっと不思議な感じだったけど、パラレルワールド的にこの世界じゃない宵山も存在していて、そこにいる人々は全く違う人なんじゃなくて、この世界にいる人と同じ立ち位置の人々で構成されてる、みたいなことなんだろうか。

    角川の森見特集の雑誌で、森見登美彦が「宵山万華鏡では自分が思う宵山を表現しきれなかったから怠け者の冒険にその部分を書いた」みたいなことを作品のセルフレビューで書いてたけど、お祭りパァー的な部分のことだろうか。怠け者の冒険の内容そんなに印象に残ってないからよく分からないけど。

    森見ファンとしてはこの作品も楽しめたけど、一冊の小説としてはそこまで爽快な読後感もないからまぁまぁかしら。そこそこ面白かったな、くらい。作家のキャリアにおける挑戦として評価できる(何様)

  • 奥州斎川孫太郎虫

  • それぞれが交錯する不思議な世界。
    また、その舞台に旅情を掻き立てられます。
    宵山祭りとは、かくも面妖なのでしょうか。

    ものぐるほしけれ。

  • 著者の長所と短所の双方が色濃く出てきているような作品。
    長所は、やはりエキセントリックな人物を描かせると天下一品であるということ。特に第二・三章は実に読ませる。
    短所は、「普通の小説」があまり上手でないこと。最初と最後の章が、この作品全体としての肝となるはずなのに、ここがいちばん弱い。ここがしっかりとかけていれば、「名作」と評価する人もたくさんいただろうになあと残念に思う。

  • 京都を舞台に、独特の世界を描いた小説を発表している、森見登美彦。
    先に読んだ『聖なる怠け者の冒険』の舞台になっていたのが、京都祇園祭宵山。

    『聖なる怠け者の冒険』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B01LYQMIS5

    同じく、その宵山を題材にした作品があると知って、読んでみることにしました。

    6つの短編からなる、連絡短編集です。

    作品に共通しているのが、宵山当日(もしくはその日に向けた日々)を、題材にしていること。
    しかしその内容は、異界に取り込まれてしまいそうな怖い話から、宵山を舞台に繰り広げる壮大ないたずらまで、色合いが異なる作品が並べられています。

    それぞれの短編の中で登場人物がリンクしているので、「同じ世界を描いているのだな」と気付かされます。

    「あとがき」にあるように、お祭り、特に祇園祭宵山の持つ、”怖ろしさ”と”楽しさ”双方の感覚を、表現した作品なのだなあと、受け取りました。

    『聖なる』とは違い、格式の高い?文体が用いられています。
    京都という限られた題材を扱いながらも、ひきだしの多い作家さんなのだなあと、感じました。

    今回も森見ワールドに浸れたので、今後もまだ読んでいない作品を探して、取り組んでいきたいと思います。
     .

  • 幻想的な世界。祇園祭行く前に再読しました。

  • 彼女と姉の通う州崎バレエ教室は三条通室町西入る衣棚町にあって、三条通に面した四階建の古風なビルであった。(冒頭の一文)

    森見得意の、異次元京都物語。
    6章構成で、読み進めるほどにファンタジーな要素が理解でき、人物同士の絡まる糸がほどける感覚になる。のめり込める。

  • タイトル通り。幻想的な夜。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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