李歐 (講談社文庫)

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著者 : 高村薫
rimi0014さん  未設定  読み終わった 

艶のある文章が読みたくオススメされた物を読みはじめました。

艶があるというと、恋愛であるとか性描写などが当てはまるのでしょうが、本書では違うと思い知らされました。
同性愛要素があるので、それだけで濃厚といえば濃厚ですが、それを抜きにしても濃厚でした。
男女関係、銃の取引、マフィア、他国国籍の人間との絡み。
私が感動したのは、風景であったり心理描写が兎に角美しいと胸を打たれました。

一彰と手を組んで悪巧みをする前に「嘘なら嘘と貫き通してくれ。〜」と友情を結び握手をする。その直前にもっと同性愛的な表現があったのに、こちらのセリフの方に濃厚な感情を感じました。
他にも一彰が李歐にビールを差し入れして彼が喜ぶ何気ないワンシーン。
あからさまな描写よりも、どこかさりげなさを感じるほんの一部分にとても惹き付けられ、頭の中にそのシーンのイメージが勝手に浮かび上がりました。
特に胸がドキドキしたのは、李歐が約束を交わして何年も経った頃に、桜をプレゼントすると約束したシーンです。
高価と言えば高価ですが、美しい桜そのものではなく、二人で凄く時間を共にしたいという贈り物が素晴らしく美しかったです。中国大陸の雄大さと五千本の桜が咲き誇る幻想的な美しさ、凄くドキドキしました。たった3ページたらずだからこそ、そのシーンだけを何度も読み返してしまいました。
彼らはそれぞれに家族を持ったり仕事をしたりと、自分の生活がありましたが、それでも長い年月お互いを意識し合っていたこの部分が濃厚さを感じました。
決して妬んだり恨んだりもせず、いつも心配したり、大切に思いやるこの精神的な絡みがとても素敵でした。
一彰も最初は何もかもがどうでも良さげだったのに、人と出会い時間を重ねていくうちにドンドン人間的な感情が芽生えて行くのもとても良かったです。

レビュー投稿日
2016年9月18日
読了日
2016年9月18日
本棚登録日
2016年9月18日
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