朦朧戦記

著者 :
  • 新潮社 (2015年2月20日発売)
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52歳から92歳までの物語~菊地源吾が自宅を改装したグループホーム・あさがおには,書道が得意な84歳の江崎米子,若手で若い女ような75歳の斉藤島子,好色な81歳三浦丞太郎,元土建屋の78歳の吉岡静夫,新撰組研究の田所聡一80歳,鉤針編みが得意な80歳の桜井みよし,82歳で腰巻きを盗られたと騒ぐ沢村潔子の7人が生活している。近くのホーム木耳と榎町の敬老会館でクイズ合戦をやることなったが,笑いモノにされるのはまっぴらだと考えた年寄りは滅茶苦茶な答を連発して,主催者を慌てさせたが,年寄りは生き生きし始めた。源吾の一廻り上の兄・正一は,4年振りの同窓会を開いて,夜の町に俄カップルが消えていくのを見ていた。老人ホームでは木耳と合コンを企画し,敬老会館では大乱交が演じられた。田所が甥から誘われた秘密クラブは,グアムから船で二日進んだ孤島で,38式を担いで米軍と本当の戦闘を行うことだった。米軍の弾丸が田所の大学時代の友人の命を奪ったが,楽しそうな死に顔に安心した。正一の友人・諸橋は都庁の後輩から都議補選に出馬し,団塊世代の生活を守ろうとどぶ板で闘い,当選すると,参議院議員が寄ってきて,団塊アゲイン党の党首に収まった。同じく小学校の友人で,学生時代は全共闘に打ち込んでいた小西博史は胃ガン・肺ガンで余命幾ばくもない人生,テロで闘うべきだと,攻撃目標はアゲイン党本部,小西の務めていたIT企業,胃ガンの手術をした大学病院とした。しかし,大学病院には,製薬会社の創業者で秘密倶楽部を主催した島崎彦六が組織した日本防衛義勇軍が待ちかまえており,返り討ちにあった。全共闘の小さなアジトは手榴弾で攻撃されたが,小西は身体を投げ出して,仲間の命を救ったのだった~まあ,面白いんだけど,中身がすかすかで,薄いよなぁ。もう一度,再構成したら良いんじゃないだろうか。老人だって生きていて枯れてはいないんだというのは伝わるけど,書き下ろしだから,推敲が十分じゃないかも知れない。雑誌に掲載されて,単行本にするときに,再構成して,加筆すれば,もうちょっと現実的な話になるだろうに

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年6月18日
読了日 : 2015年6月18日
本棚登録日 : 2015年6月18日

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