root3さんの本棚»
続かないような気がする・・・意外と続いている・・・一日一冊が目標だけど・・・まじめに仕事していると・・なかなかネ
レビュー by root3さん
萩尾は斬新なテーマを生み出していたんだなあと~下級生のトーマが駅の裏改札から線路に架かる陸橋で命を落とした。帰寮したユーリは素っ気ない素振りをしているのが僕には不思議だ。学級委員のユーリを同室で間近で見てきた親友の僕にはユーリの変貌振りがよく分かるのだが,彼は救って欲しいとも言い出さず,僕もどう救いの手を伸ばしたらいいのか判らない。そんな中,転校し来たエーリクはトーマそっくりなのだが,おっとりとしたトーマに比すると,エーリクは口の利き方もままならず,自殺しただろうトーマに似ているだけで院生もの興味津々だ。院生のパーティーに呼ばれて酔わされ,自室に戻ることができず,ユーリのいない僕の部屋に泊めた事がワーグナ教授に知れ,冬季休業中に僕・オスカーとエーリクの居室が入れ替わった。5年前から一緒に過ごし,2年前からは同室となったユーリは模範生で僕の監視役だと思ってきたが,僕の親代わりのワーグナ教授は僕をユーリの監視役として置いたのではないかと気がついた。2年前から明るさを失ったユーリに何があったのか,トーマはなぜ自殺したのか判らないまま,ユーリの部屋から失踪したエーリクを追って,夜汽車に乗り,エーリクが唯一の肉親である母を事故で失ったこと,ユーリが神父になる決意を聞かされた僕は,無事に学校に連れ戻したエーリクを二人部屋に見舞った帰りにアンテという下級生に呼び止められ,トーマとアンテがユーリの秘密を垣間見たと知り,アンテからユーリは院生3人に体育館に呼び出され,悲鳴を上げていたと知らされる。加害者の3人は既に放校になっている。不仲を心配していたユーリとエーリクは互いに口を利かずに平穏に暮らし,エーリクは数学と物理で満点を取った。神学校に転校する数ヶ月前,心臓病の発作を起こしたワーグナ教授から呼び出された僕は,ドイツと日本のハーフである母を射殺して失踪した画家の父が僕を預けたワーグナ教授こそが本当の父であることに確信を強め,教授が口走ったユーリの秘密を淡々とした説明で聞き,ユーリが自分から話してくれるように待つしかないと改めて確認した。学年末の数日前,二人の部屋を訪ねると,神父となる決意と自分の心の傷をエーリクに話し終えたユーリは僕にも淡々と自分を襲った事件を話してくれ,気持ちよくユーリを送り出すことができた~ドイツの一貫校ギムナジウムを舞台としたボーイズラブ(それだけがテーマではなかったろうが)を少女漫画独特の不条理の世界と考え,意味がわからんながらも読んだものだが,この小説も最初のうちは意味が分からず読み進めていくうちに,舞台は戦前の日本,生徒にドイツ風の呼び名をつけるドイツ系の私立(獨協)一貫校で上野を舞台として焼き直している事が判ってきて,ああ・・・憧れの先輩,悪戯したくなる可愛い後輩,エリートが通う学校で学問は教養の一種,生活の糧ではなく,隙をついて悪さをして学校を卒業した後は苦労もなく家業を継ぐ,戦前のボンボンが集う場所で・・・妙な空気が流れていく世界に,残り半分になった時点で入り込むことができた。ボーイズラブは漫画の一つのジャンルになっているが,萩尾のトーマの心臓は確かに,その先駆だったのだ。入り込むことができない世界に秘密があるのではないかと,想像したくなる気持ちは解るが,,空想もぼちぼち,その辺でやめておけよと強く憤る。徐々に証される謎(とは云っても主人公だけが知らないのだが)という萩尾の路線は,情報不足を少しずつ埋めていって最後にドンと謎を解く森の路線と出発点は違うが,似た手法なのだ。萩尾の様な絵で説明されても読み解きをすっ飛ばしてしまうと,訳が分からなくなるが,小説という字の連なりはキーワードを今読んでいる部分よりも前で捜せば良いから楽チンだ 登録日 : 2010年01月26日 07:16:15


コメント
まだコメントはありません。