太陽の坐る場所 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年6月10日発売)
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本棚登録 : 338
感想 : 20
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面白かった。ストーリー全体も良いのだとは思うけど、わたしは完全に心情描写を楽しんだなあ。

良く小説に「素敵な人」「冴えない人」「幸せな人」「不幸な人」とキャラクターが分かれて登場するけど、本来現実にはそのどれかにはっきり決まっている人なんていない。かと言って、ある日突然改心したり、成功して人格のすべてが変わる人もいない。幸せも不幸せも、優しさも残酷さも地続きで、だからこそ人間には救いがあるし、絶望したり、退屈したりもする。
そういう人間の当たり前を、リアリティをもって、かつ面白いと思わせて複数人描くってものすごい力量だし、意外とそれが上手だなって実感できる作家さん少ないよな……辻村さんは本当にその点では右に出る人なかなかいないと思う。
あと女性が複数出てきて、その女性たちが仲良いだけでなく、仲悪いだけでないお話がものすごく好きです。はーーー楽しかった。
人物描写を読む快楽を味わいたければ辻村さんのお話。と再認識しました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年9月26日
読了日 : 2017年9月22日
本棚登録日 : 2017年9月26日

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