この三人の鼎談とあらば読まずにいられないと手に取り。
最初にこの本を読むに当たって押さえておくべき場所についての解説がありますが、確かにそれを踏まえて読みだした方が入りはスムースかと。
とはいえ正直言うと私は、最初の方「おっさんの内輪話」にしか感じられず(失礼)中々お三人の語りのペースに馴染めませんでした。
しかし何気ない話をしているようであっても自ずと深い話になってゆくのはさすがです。三人とも全然違うようでどこか通じるものがあるというか似ているところがあるように見受けられました。
「政治やメディアの劣化を野放しにしておくことは危険である」とか、「生きる上で当たり前のこと(常識)だから法文化していないことを”法律で決まっていないから”とどんどん破っていく」など、今の日本の現状でシビアになってきている点についてがんがん話されています。漠然とは思っていてもそれこそ自分の中では明文化していなかったものがどんどんとこの場では語られており、深く考えさせられます。
家を出るという行動に攻撃性なんて考えたこともなかったですがこう言われると「なるほどなぁ」と大変腑に落ちます。向田邦子のエピソードも、向田邦子ってやっぱりすごいなと思わされました。
でも自分が一番グッと来たのは第4章ですね。
どの章がグッとくるかはおそらく人によって結構分かれると思いますが、自分は何度か涙ぐむほどに感動しました。これは自分が両親を亡くしたせいかなと思いました。身内を亡くした人には染みる一章ではないかと思います。
運命に導かれているべきところに帰着していく…と内田先生はおっしゃっておりますが私は運命というより宿命とそれは呼ぶのではないかな、と思いました。
平川さんの言う強い現実、がイコール宿命かな、と。
これは今だからこそ読まれるべき鼎談ですね。
- 感想投稿日 : 2016年8月1日
- 読了日 : 2016年7月25日
- 本棚登録日 : 2016年7月26日
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