小説もきっといいに違いない、と思いつつ食指が伸びずこのシリーズだけ読んでいます。時々「ぐっ」と来たり「むっ」としたりしながら読むのが楽しい。頭を使わずさらりと読めるのがいいです。
このシリーズを読んでいるといつも感じるのは「100%男だな」ということ。匂い立つかのような「男」を感じます。
小説に食指が伸びないのは多分、この「男くささ100%」感がゆえと思います。自分は、という限定ですが。
でも、ふーんそう考えるのか男の人は、と80%くらい女である?私はたまに目からうろこが落ちます。そこが楽しい。
語りすぎず行間に様々なものが立ち込めるようで、文章というものはこういう風に書きたいものだとも思わされます。
はじめの方の文中に、家族の病気に付き添っている人に向けて書かれた一文があります。「どんな状態でも、明るく過ごすようにすることが一番である。明朗、陽気であることはすべてのものに優る」
まさに家族の入院先への移動のバスの中でこの文を目にした時、不意に涙が落ちそうになりました。
伊集院先生と同じように考える一人ではあったけれども、やはりしんどい時もある。でも経験に裏打ちされたその言葉はとても深いところに染みました。
病中だけではなく、辛い時こそ陽気でいるべきだ、という思いを肯定された気持ちでした。
昔のエッセイを読んだことはないのでわからないのですが亡くされた前の奥様のことを書かれるようになったのはきっとそんなに昔からのことではないのではないかなと思います。
時間が経ったからこそ、今が肯定できるからこそ書けるものもあるのではないか、と感じました。
亡くされた奥様のことが書かれてある時、愛情、と一言では言い尽くせない感情が籠められているように感じられます。時間が経たなければ書けない文章、と思います。
これからも追いかけたいシリーズです。
「追いかけるな」と言われても。
- 感想投稿日 : 2016年4月4日
- 読了日 : 2016年3月16日
- 本棚登録日 : 2016年4月4日
みんなの感想をみる