樅ノ木は残った(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2003年2月19日発売)
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本棚登録 : 1227
感想 : 93
4

史実の「伊達騒動」を題材にした創作。
代表作とも言われる本作の魅力は「史実と異なる人物像を中心に据えながらも、題材を破綻させずに活かした事。そして、主人公(原田甲斐)を通して人間の本質を描いた事」だと思います。
本作は、上・中・下巻という長編なので、登場人物の様々な側面が描かれており、武士という生き方に翻弄されていく人々をリアルに感じる事が出来ます。そして、そこから浮かび上がる、当時の武士が持つ死生観と主人公が持つ死生観の違いにも面白みがあります。
また、主人公に多くを語らせず仕草や目の動きだけの描写をする事で、読者なりの解釈を入れる余地を残しているのが非常に嬉しい。
緻密な創作の世界で、読者が自由に楽しめる箇所を作る山本周五郎氏の懐深さを感じます。

登場人物も多く、呼称も複数あるので、読み進めるのが困難と感じるかもしれない為に★4としましたが、是非おすすめしたい作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2014年2月25日
読了日 : 2014年2月18日
本棚登録日 : 2014年2月20日

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