京都を舞台にした少し不思議な話という印象から始まり、読み進めるうちに闇の中に絡め取られて行くような感覚を覚えてくる作品集。互いに少しずつ関連しながらも独立した幻想譚が四編。特に初めの二編が好み。
「きつねのはなし」
表題作。ちょっとしたきっかけで境界を超えてしまい後戻りができなくなるような不安感と、もやがかった妖しい雰囲気がとても好みでした。
「果実の中の龍」
主人公と、尊敬する先輩、先輩の彼女の三人の交流。ちょっと不思議で、驚きもあり、不安とほっこり感が同居する見事な作品。先輩の語る魅力的な物語は、いったいどこからもたらされたのか。物語の虚と実の境に意味はあるのか。物語は楽しめればよいのだ。この短編集を貫く要のような作品と思う。
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- 感想投稿日 : 2017年6月7日
- 本棚登録日 : 2017年1月29日
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