電波利権 (新潮新書 150)

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  • 新潮社 (2006年1月1日発売)
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<第10章 電波社会主義を超えて>p176
無線通信の発展をさまたげるボトルネックは、技術ではなく周波数を政府が割り当てる社会主義的な制度にある。このため電波が政治と密接にむすびつき、既得権が強く守られる一方、新しい技術には実用性の低い帯域しか割り当てられない。いってみれば、都心に平屋建てのバラック小屋がたくさん残っているのに、それを立ち退かせる山奥の不便なところに高層ビルを建てているようなものだ。
こうした非効率性は世界共通の問題だが、日本の場合はとくに政府と業界の「談合」的な体質が強く、携帯電話やデジタル放送への参入なども既存企業に偏っている。免許申請の際も、「一本化調整」によって免許の数と申請者数が一致するため、書類審査さえ必要ないことが多い。さらにテレビ局も新聞社もこの談合の輪に入っているため、アナアナ変換への国費投入のような疑問の多い政策についても、ほとんど報道すらしない。

【電波を政治から解放せよ】p186
ブロードバンド時代に価値を生み出すのは、いま放送局がもっているコンテンツと、それを創造する制作能力や編制能力なのである。放送局がその流れに抵抗しても、ライブドアや楽天が試みたように、企業買収で力関係は変わるかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 情報/テクノロジー/メディア
感想投稿日 : 2014年3月27日
読了日 : 2014年3月27日
本棚登録日 : 2014年3月26日

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